学会誌印刷の費用の基本
学術誌作りにおいて、見積りはとても重要となります。特に学会誌の制作は受注生産となりますので、支払いに関する各種項目の単価を知ることが大切です。
しかし、印刷の見積りは専門用語も多く、印刷会社によって呼び名が異なることもあります。
ここでは、わかりづらい印刷費用の積算方法をご紹介します。
学会誌印刷の流れ
印刷費用を読み解くには、まずどのような作業を行っているかを知る必要があります。印刷費用は、それらの作業ひとつひとつに対し積算がなされているからです。
まず、印刷を行う際に論文データを印刷会社へ渡し、そのデータのままに印刷を行う(依頼する)場合があります。この場合でも、その会社の設備に対しデータを変換するため、基本料や加工料が設定されることがあります。
次に組版から請け負う(依頼する)際の一般的な流れは以下となります。
1.仕様調整(色やレイアウト、用紙の選定、制作スケジュール等)
2.原稿入稿、編集(原稿整理、制作指示)
3.組版
4.校正往来、修正、校了までの進行管理
5.印刷用データの作成
6.用紙の発注
7.刷版の作成
8.印刷
9.PP貼り、ミシン等の加工
10.製本
11.梱包・発送
工程ごとに分けた流れとなり、それぞれ専門のスタッフが対応していきます。
印刷以外の積算方法
印刷の積算は、印刷の流れに沿って勘定していきます。具体的には、以下のようになります。
1の使用調整は、調整内容に応じて金額を決定します。営業経費等と示されることが多くあります。
2の原稿入稿、編集と3の組版は、ページ数に対し計算を行います。また組版の難易度に応じて単価が変動します。
4の校正往来、修正、校了までの進行管理は記事の本数に応じて計算を行います。校正回数によって単価が変動します。
5の印刷用データの作成雑誌全体の一括変換ですが、ページ数によって金額が変動する場合があります。
6の用紙の発注、7の刷版の作成、8の印刷は後ほど解説します。
9のPP貼り、ミシン等の加工は表紙にフィルム加工を施す場合や、本文ページに切り取り線(ミシン目)を施す際のオプションとなります。加工しない場合は不要となります。
10の製本における費用は製本代となります。主に本文のページ数によって単価が変動し、部数が多いほど割安になります。また製本の種類、上製本であるか並製本であるか、中綴じ製本であるかによっても単価が変動します。
11の梱包・発送は個別の発送であれば封入作業は部数に応じ、また送料は実費となります。全部数の1箇所納品や2拠点納品の場合は、梱包代と送料が計上されます。
学会誌印刷の積算方法
6の用紙の発注、7の刷版の作成、8の印刷の積算方法についてとなりますが、オンデマンド印刷とオフセット印刷で積算方法が異なります。
まず、オンデマンド印刷についてです。オンデマンド印刷は版を使わず印刷をする印刷手法です。データがあれば直ぐに印刷できるため、小ロットの印刷を希望する方におすすめです。
オンデマンド印刷で印刷できる用紙サイズは最大でA3判であり、仕上がりがA4判の場合は両面を印刷することで4ページの印刷が可能となります。
印刷単価は1枚の印刷に対して設定されます。つまり、16ページの本文であれば、4枚のA3判用紙が必要となり、その両面に4頁分の印刷をするといったことになります。たとえば、片面の印刷単価が10円の場合、16頁の本はオンデマンド印刷で印刷すると4枚×両面(10円×2面)となり、1冊子あたりの印刷単価が80円となります。
そして1冊の単価に必要部数をかけたものが、合計の印刷料金となります。また、オンデマンド印刷の場合は用紙代金を含む単価となっている場合が多くあります。
次にオフセット印刷です。オフセット印刷は刷版と呼ばれるハンコのようなものを制作して印刷する手法です。費用と時間はオンデマンド印刷より金額は高くなりますが、品質を保ちつつ大量に印刷できることが特徴です。
オフセット印刷機には、A1判の用紙に印刷ができます。A1判というのは、A4判換算で片面8頁、つまり表と裏で16頁の印刷が可能となる大きさです。
印刷費用についても、オンデマンド印刷のように1枚の価格ではなく500枚までの価格、1,000枚までの価格、といった計算方法になります。例えば16頁をオフセット印刷で印刷する場合、A1判の刷版が3,500円とすると表と裏の2版の刷版が必要となり7,000円。印刷費用についても考え方は同様で片面500枚までで4,500円とすると、表と裏で9,000円となります。合算して16頁を500部するのに16,000円となります。
必要部数が500部であれば、1冊の単価は32円(用紙代除く。1頁1円で勘定しても、合わせて48円/1冊)となりますが、必要部数が10部の場合は、1冊の単価は1,600円になってしまいます(用紙代除く。1頁1円で勘定しても、合わせて1,616円/1冊)。
必要部数、頁数に応じて印刷方法、費用が変わりますので、最適な方法を検討する必要があります。
最後に用紙についてですが、わかりやすく1頁での単価を設定している企業もありますが、一般的には、A1判のサイズで計上し、算出することがほとんどとなります。つまり、16頁を印刷するのに必要な用紙は(A1判)1枚という計算になります。
上記に加えて、カラーかモノクロか、注文時期と納期、表紙や本文に使用する紙の種類等によっても価格が変動します。
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