自筆論文の投稿先を見つけるのに役立つ採択率(アクセプト率)の調べ方

論文の掲載誌を決める際に気になる採択率について、その意味や特徴、調べ方を解説します。採択率以外にも重視すべきジャーナル選びのポイントも紹介します。

採択率からわかること

採択率とはジャーナルや国際会議に投稿されたすべての論文に対するaccept(採用)の割合です。論文投稿サイトは含めず、ここではジャーナルにおける採択率に限定して説明します。

投稿された論文は、まず編集委員によってaccept(採用)かreject(却下)かrevise(修正)かが決められます。acceptなら査読に進み、rejectなら理由と共に伝えられ、reviseなら書き直しの指示と共に再投稿が求められます。無事に査読に進んでも、査読の結果rejectとなる場合もあり、最終的にacceptとなったものが採択率に反映されます。

採択率が意味することは、主に「審査の厳格さ」と「投稿の多さ」です。採択率の低さはそのジャーナルの審査が厳格であることも表しますが、母数となる投稿数が多いということも言えます。
出版者は論文の質を一定に保つため、それぞれの基準の元に論文を採択します。採択率が高ければ掲載される可能性は上がりますが、ジャーナルとしての質を検証する必要があります。

論文投稿で大切なのは、rejectの場合にどれだけ丁寧なFB(フィードバック)があるかということです。rejectの明確な理由の説明と内容への的確なFBがあれば、再度論文を書きなおし投稿する価値のあるジャーナルと言えます。

採択率を調べる方法

ほとんどの出版社はジャーナルの採択率を公表していません。採択率は論文を採択する際の内的基準であり、論文の著者にとって必要な情報ではないためです。とはいえジャーナルの掲載論文のクオリティや人気を判断する基準として有益な数値ではあります。

採択率は公表されていないため、すべてのジャーナルの採択率を知ることは難しいです。しかし多数のジャーナルを発行している世界的な大手出版社では、自社の採択率を含む基本情報を公表している場合があります。例として以下の各サイトで採択率を調べられます。

・Elsevier Journal Finder
https://journalfinder.elsevier.com/
Elsevier 社が出版するすべてのジャーナル情報を検索できます。インパクトファクター・サイトスコア・レビューのスピード・採択率・採択から公開までのスピード・オープンアクセスに必要な費用などの情報が見られます。

・Springer Journal Suggester
https://journalsuggester.springer.com/
Springer Nature社が出版するすべてのジャーナルの情報を検索できます。検索結果ではインパクトファクター・投稿からfirst decisionまでの日数・採択率などの情報が提示されています。

・APA (American Psychological Association)
https://www.apa.org/pubs/journals/statistics
APA社が出版するすべてのジャーナル情報のPDFファイルを毎年公開しています。投稿数・採択数・保留の数・リジェクト率のほか、出版されたジャーナルの基本情報が掲載されています。

採択率以外に投稿先の選択基準となる項目

投稿するジャーナルを決める際にはさまざまな要素を考える必要があります。以下の項目を参考に、多角的にジャーナルを評価しましょう。

また、学会(ジャーナル)へ論文を投稿する際の方法や注意点については、合わせて以下の記事もご覧ください。

学会への論文投稿方法や、投稿先の選び方

1.査読期間

査読期間は分野や国によってかなりの違いがあります。自然科学・社会科学分野で信頼できる査読機関を持つジャーナルの場合、平均して1~2カ月、長ければ100日以上かかることもあります。

acceptされてから1、2カ月の間連絡がなくても、信頼できるジャーナルであればそのまま待っていて心配ありません。査読期間も出版社側から積極的に公開されている情報ではないので、先ほどご紹介した大手出版社の自社ジャーナルの情報などを参考に調べましょう。

2.インパクトファクター

インパクトファクター(IF)はジャーナルを評価する際に最もよく使われている指標で、ジャーナルの影響度を表します。

目安の数値は分野によってかなり違うので、一概には言えません。自然科学・社会科学分野ではIF=5ほどあれば一定の評価を得られているジャーナル、IF=10ほどなら一流、IF=20ほどでトップクラスと言えるでしょう。

数学や経済学ジャーナルならIF=5でも十分な権威がありますが、医学論文の分野ではIF=80を超えるジャーナルも存在することなどから、分野による差が大きいので比較検討することをおすすめいたします

インパクトファクターはJournal Citation Reports(JRC)の契約者に提供される情報で、一般公開はされていません。ですがジャーナルを特定し「インパクトファクター」というキーワードで検索することで、出版社のサイトなどで提示しているものが閲覧できる場合があります。またほとんどの大学や研究機関はJRCの会員なので、大学や研究機関のサイトからJRCのページに入って調べることもできます。

3.オープンアクセスへの対応

オープンアクセス(open access:OA)とは、論文をインターネット上で誰でも無料で閲覧できる状態にすることです。それにより著者は自分の論文をより早く多くの人に見てもらうことができます。OAに対応しているかどうかはジャーナルによって異なります。OAできるかどうか、APC(Article Processing Charge:論文掲載料)はいくらかなど、出版元のサイトで調べましょう。

Heliyon やScience Advancesのように、オープンアクセスジャーナルとして特化しているものもあります。
APCの金額は1万~100万円程でかなりの幅がありますが、最も多い価格帯が10万円台です。

4.ジャーナルとの関連性

指標や数値以外にも、論文がジャーナルの基本テーマや方針などと一致しているかや読者層が適切かどうかはもっとも基本的で大切な選択基準です。どのジャーナルが最適なのかが分からない場合は、キーワードやテーマから関連性の高いジャーナルを無料で検索できるサイトもあるので活用してみましょう。

・JournalGuide
https://www.journalguide.com/
英語で論文タイトルやアブストラクトを入力すると、横断的にジャーナルを検索してマッチングして適するジャーナルの出版社・IF・オープンアクセスの可否など情報が一覧で検出されます。出版社名やジャーナル名からその詳細情報を調べることもできます。

・ENAGO
https://www.enago.com/academy/journal-finder/
英語でアブストラクト、メールアドレスを入力するとオープンアクセスジャーナルから検索され、出版社・査読工程・ジャーナルの信頼度・出版までのスピード・論文掲載料がわかります。

・Jane(Journal/Author Name Estimator)
https://jane.biosemantics.org/
アブストラクトやタイトルを入力すると、その内容に近いジャーナルや著者、論文を検出します。PubMedのデータベースに依存しているため、PubMedに搭載された信頼性の高い情報のみを検出します。ジャーナルを検索するとマッチ率の高い順に検出され、そのジャーナルに含まれる一致率の高い記事を閲覧できます。

内容がそのジャーナルの基本テーマに合っていたとしても、同じテーマの論文がすでに掲載されていれば採用の可能性は低くなります。直近で同じ特集を組んだばかりだったり、同じテーマの論文がすでに十分採用されていたりする場合はよほど新しい内容でなければ採用されにくいでしょう。

採択率は掲載するジャーナルを選ぶ際のひとつの指標にはなりますが、採択率にとらわれる必要はありません。採択の難しさを把握し心構えをするための数値と捉えるくらいがちょうど良いでしょう。

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