学会を現地開催する際の注意点とは
「新しい生活様式」が定着しつつある中、学会を現地開催とするのか、オンライン開催とするか、それともハイブリッド開催とするか、判断に悩まれている方も多いと思います。
ここでは、学術大会の現地開催する際の注意点について、紹介していきます。
コロナ禍における学会開催の注意点
「新しい生活様式」の実践、今年こそは顔を付き合わせての大会が会員から求められつつも、新型コロナウイルス感染症変異株の感染が拡大し問題解決の糸口が見えないなか、リアルでの学会・講演会開催の判断に悩まれている方も多いと思います。
学会を現地開催する際の注意すべきことはどのようなものがあるでしょうか。
新型コロナウイルスの感染が広がりやすいと言われる3密とは、以下の3つです。
1)換気の悪い密閉空間
2)多くの人が密集する場所
3)間近で会話や声を出す密接場面
しかし、「3密」の3つの条件がそろわなくても集団感染したケースが多く報告されています。
いずれの「密」も学術大会にはつきものとなりますので、それらの対策を講じる必要があります。
まず、各会場が密にならないよう、コロナ前の開催よりも十分な余裕があるスペース・会場を準備しましょう。
厚生労働省ではイベント等の感染症対策として以下のような提言をしています。
「大声での歓声、声援等が想定される場合等は収容率の上限を50%とする(収容定員が設定されていない場合は十分な人と人との間隔(1m ))(緊急事態措置区域)」
「密」状態にならない会場レイアウト、参加者の導線確保が求められます。
受付やホワイエ、エレベーターホールなど、並ぶことが想定される場面では、足元に立ち位置のマークを記します。
参加登録などの記載は可能な限り事前対応依頼を、参加受付時・抄録発送時等など事前に促すようにしましょう。
現地で記載するブースには、パーテーションの設置、消毒筆記具の設置を行います。
各発表会場では入退出時の手指消毒とマスクの着用を徹底し、演者と聴講者の席は2mの間隔を確保し、聴講者の座席も1m程度離しましょう。座席が固定されている部屋は座席を一つおきに使いましょう。
空調の十分ではない部屋では、出入り口の扉を開放液の設置をします。
また、参加者だけでなく企業ブースなどへも同様の配慮が必要です。
次に、会場の感染防止に向けた対策だけでなく、参加者自身による体調管理、新型コロナウイルス検査の実施、入場前の検温をお願いや、体調不良時には出席を見送るような運用の徹底、など運用についての取り決め、参加者への事前通知、HPでの案内が重要です。
オンライン配信する場合の準備
新型コロナウイルスの収束が見えない中、新しい生活様式が求められています。
学術大会においても、各都道府県の発令状況、大学、それぞれの施設の取り決めにより、現地への出張が難しいことがあります。そのため、実際に顔を合わせる「現地開催」とWebを利用する「オンライン配信」を併用したハイブリッド開催が注目を集めています。また、ポストコロナにおいても、今後、オンライン配信に対応することで、参加者の増員も見込めます。
オンライン配信をする場合には、現地開催での準備に加え、以下のような準備が必要となります。
・会場の通信環境
・動画配信のための設備(PCやカメラなど)
・ZoomやVimeo等、配信ツールの選定
・現地参加者と、オンライン参加者の参加費用の差別化の検討
・LIVE配信とする講演とオンデマンド形式による動画配信を併用する際の演題の住み分け検討
・発表者や視聴者のマニュアルの作成
・LIVE配信の発表者との連携、事前リハーサル
SOUBUN.COMでは現地+Zoom等オンライン配信の開催サポートサービスを提供しております。ハイブリット開催のサービス詳細については、こちら(https://www.soubun.com/services/ハイブリッド学会開催サポートサービス【実会場】/)。
現地開催準備のスケジュールとタスク
大会までの日程感の概要は以下の通りです。
現地開催の準備は、会期の1年前から始まります。コロナ禍を一度経験し、昨年はオンライン大会での開催となったケースがほとんどかと思いますので、前回大会だけではなく、現地開催で開催した際の参加人数や準備も参考にする必要があります。
まずは過去の企画演題やシンポジウム、一般発表演題、示説等の演題数を把握することが重要です。また、次期大会長として、総会や懇親会であいさつを依頼されることもあります。
社会情勢によっては急遽開催方法を変更する可能性があることを理解し、変更を前提にスケジュールを組みましょう。
<学術大会・総会までのスケジュール>
1年前~6ヶ月前
大会のポスター、チラシ、ホームページ制作や封筒類の作成を行いますが、「あくまで現時点での開催方法」という記載を入れ、急遽オンライン開催に変更した場合のことも併記が必要となります。
6ヶ月前
現地開催を実行するかどうかの判断を行いつつ、急な現地開催の中止も想定した参加登録・演題登録の開始。それに伴う問い合わせ窓口業務が始まります。
3ヶ月前
プログラム編成。講演要旨集、抄録集の編集制作が開始いたします。
1ヶ月前
いよいよ、最終的な現地開催の可否判断を行います。
名札・参加証制作、事前登録者への抄録集・名札等の発送
当日の使用機材、表彰状、感謝状などの準備、手配
前日or当日
会場設営
大会当日
また、各種精算(大会決算、依頼講演者への源泉徴収票)や、ホームページの管理、大会情報の学会事務局との共有など、大会終了後にも、いろいろな処理、対応が必要となります。
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現地開催予定もしくは開催済みの学術集会
2020年は突然の開催方法変更を余儀なくされた学会も多くありましたが、本音で語り合えるリアル開催の要望も大きく、2021年は新型コロナウイルスの感染状況を鑑みながら、当初よりハイブリッド開催を予定されている学会も多いようです。他学会の状況も参考にされながら、現地開催を検討してはいかがでしょうか。
<参考:リアル開催またはハイブリッド開催>
2021年秋〜
第39回日本大腸検査学会総会(オフライン開催)
2021年10月1日(金)、2日(土)
開催地:東京都
http://www.pw-co.jp/jsce39/greeting.html
第48回日本小児栄養消化器肝臓学会学術集会(ハイブリッド開催)
2021年10月1日(金)〜3日(日)
開催地:長野県
https://plaza.umin.ac.jp/jspghan48/
第30回日本脊椎インストゥルメンテーション学会(現地開催)
2021年10月1日(金)、2日(土)
開催地:愛知県
第51回日本臨床神経生理学会学術大会(ハイブリッド開催)
2021年12月16日(木)~18日(土)
開催地:宮城県
https://www.c-linkage.co.jp/jscn2021/index.html
2022年春〜
第99回日本生理学会大会(ハイブリッド開催)
2022 年3 月16 日(水)・3 月17 日(木)・3 月18 日(金)
開催地:宮城県
https://www.psj2022.org