学会誌や学術誌の「引用・転載」について

学術誌や学会誌に的をしぼり、そこから引用や転載を行う際の注意点や、分野ごとに異なる「著者名. 論文名. 掲載誌名, 出版(刊)年, 巻数, 号数, 頁」等の引用ルールや記号の記載方法、「引用」と「転載」の違いなどについて、基礎的な内容を詳しく解説します。

引用と転載の違い

引用も転載も、どちらも「ほかの文献にある文章や図表などを、自分の文献に取り込む」ことで、意味は同じです。では何が違うのかというと、引用は「取り込む際に許可を要しない」のに対し、転載は「許可を要する」という点です。
引用は、「一部他者の文章等を使用する」ということです。文章を作成する際には、「引用箇所や出典を明示する」「引用を主にしない」といった一定の厳守すべきルールが定められています。そのルールの範囲内であれば「他人の著作物を自由に引用することができる」と、「著作権法第三十二条」で規定されています。
一方で、引用箇所の量があまりにも多かったり、記事や図表をそのまま使用したりする場合には、注意が必要です。「一部使用する」レベルを超えていると見なされれば、「引用」ではなく「転載」になり、元の文献の著作権者に許可を申請し承諾を得る必要があります。

学術誌や学会誌の引用に関する注意点

学会誌を含めた学術誌から引用する場合は、引用文献一覧への記載方法に別途規定があるケースも見られます。一例としては、次のようなものがあります。

・「著者の姓名」「掲載誌の発行年」「文献のタイトル」「掲載誌の名前」「掲載誌の巻数」「掲載誌の号数」「記載ページ」を記す
・文献のタイトルは「 」で囲み、掲載誌の名前は『 』で囲む
・英文の文献の場合は、掲載誌と巻数を斜体で記す

また、学術誌に投稿し受理されているが、まだ公表されていない論文なども、その旨を明らかにすれば引用は可能です。ただし、後でトラブルにならないよう、発行元の学会等から許可を得たうえで引用するほうがよいでしょう。

引用のルールや参考例

引用のルールは、学会の雑誌ごとに執筆要項や投稿規定のような形で、明示されている事がほとんどです。
引用の様式については、各団体の規定を参照するようにしましょう。
参考例として実際にどのようなパターンがあるか下記に記載します。
引用元に応じて以下のように明確に区別されています。

学術誌に論文を引用する例

著者名(出版年).論文名.雑誌名,巻,号,pp.開始頁-終了頁.
日本語論文の場合…論文名を「」で囲み,雑誌名を『』で囲む。
外国語論文の場合…雑誌名と巻を斜体にする。

学会誌に本・書籍を引用する例

著者名(出版年).書名.発行所.
日本語の場合…書名を『』で囲む。
外国語の場合…書名を斜体にする。
訳本の場合…原著者名をカタカナで記すとともに,訳者名を明記する。

書籍中の1部分を引用する例

著者名(出版年).章名.編者名編,書名(pp.開始頁-終了頁).発行所.
日本語の場合…章名を「」で囲み,書名を『』で囲む。
外国語の場合…書名を斜体にする。

引用URLの取り扱い例

データベースやホームページなどは更新・削除され、参照できなくなる恐れがあるので、引用はできるだけ避ける、とする場合があります。
もし引用する際の例として、
・引用URL、番号は引用順に通し番号とし、本文中の該当箇所に、「 i)ii)」,「 i)∼iii)」、「 i)ii)∼iv)v)」のように上付きで指示する。
・「文献」の次に「引用URL」と書き、URLをまとめて書く。
・なお、該当する情報を入手した年月日を括弧内に記入する。
という運用をしている学会・研究会もあります。

上記はいずれも一例のため、学会・団体ごとのルールを確認し作成しましょう。

学術誌や学会誌の転載に関する注意点

前述のとおり、一般に引用のレベルを超えていると考えられる場合は転載ということになり、掲載するには、元の文献等の著作権者から許可を得なければなりません。転載を申請する際は、書面で行うのが通例ですが、最近ではメールや、学会・出版社等のホームページからでも申請できます。
また、転載にあたっては、別途料金を請求される可能性もあります。「申請内容に応じて個別に判断する」などとなっていることもあるので、気になる場合は、事前に確認しておくとよいでしょう。

引用も転載も、規定に従って適切に行われなければ、「盗用」になってしまいます。実際、そのようなトラブルに発展するケースも多く見られますので、両者の違いについてはしっかり把握しておきましょう。

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