学術誌や学会誌の論文と著作権について

論文で他の著作者が書いた学術誌や学会誌を引用する場合に、気になるのが著作権の所在です。著作権はそもそも何なのか?どこまで引用できるのかなど、著作権にまつわる疑問にお答えします。

そもそも著作権とは

著作権とは著作物を保護の対象とした権利です。著作物とは、文芸、学術、美術、音楽の分野で人間の思想、感情を創作的に表現したものを指し、それを創作した人は著作者となります。

小説、音楽、映画、絵画、地図等は著作物に該当し、創作性を伴わない単なるデータや他人の創作物を模倣したものは著作物ではありません。「アイデア」もまた、表現を伴わないために著作物には該当しません。

特許などと違い、著作権を得るための手続きは一切不要です。

創作した時点で自動的に発生し、原則として著作者の死後70年まで保護されます。また、著作者は自分の著作物を独占的に利用でき、第三者による無断利用を排除できます。

学術誌や学会誌の論文と著作権

過去の判例によると、学術誌や学会誌に掲載された論文の全ての箇所が保護の対象になるわけではありませんが(参照元:http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/575/009575_hanrei.pdf)、学術分野における創作物として、一般に各論文には著作権があると著作権法第2条1項1号に定められています。

論文の著作権はどこに帰属する?

多くの場合、著作権譲渡契約書や規約によって、投稿された論文の著作権は学会への帰属が定められています。そこでは複製権や公衆送信権、翻訳権、翻案権といった著作権上の権利や著作者の著作物利用、著作者の責任に関する規定が重要視されます。

論文の引用と著作権の関係は?

著作物である論文を利用するには著作権者の許諾が必要ですが、例外のひとつとして目的上正当な範囲内であれば許諾を得ずに他人の著作物を引用できます。

その際には以下の点が求められます。

1.対象は公表された著作物であること
2.公正な慣行に合致し、自分の説を正当付けるためといった必然性があること
3.「主従関係」が明確であること(引用が「従」、それ以外が「主」)
4.カギ括弧等で引用部分を明示すること
5.引用部分を改変しないこと
6.引用の量は必要最小限にすること
7.原著者の意図に反したり、名誉を害したりしないこと
8.出典を明示すること

8についてですが、論文では引用部分に注を付け、近くに著作者名、書名(題名)、雑誌名、ページ等を表示します。

論文の転載と著作権の関係は?

転載とは、引用の範囲を超えて既存の文章や図表等を別の出版物に掲載することです。
著作権者からの許諾で転載は可能となりますが、条件や費用なども様々なので事前に問い合わせるのが良いでしょう。

本記事では、普段わかりそうでわかりづらい、学術誌や学会誌の論文と著作権について説明しました。「文化の発展へ寄与する」という著作権法の目的を心に留め、さらなる敬意を持ってそれぞれの研究論文と著作者に向き合っていきたいところです。

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