査読管理システムを使用しジャーナル・学会誌発行をスムーズに行う方法
学会誌発刊には、編集や校正、印刷だけでなく、投稿論文の査読が必須となります。
また「査読」は、実際の査読業務のみならず、投稿の受付から採択まで、必ず「査読管理」が伴います。
投稿論文が多ければ多いほど、その管理は大変な労力となり、論文はあるのに、なかなか受理されず、雑誌が発刊できない、といったこともあります。
つまり、査読がスムーズになれば、学会誌も定期発刊される。
ここでは、そんな査読管理を手助けする査読システムについて、ご紹介します。
査読管理とは
「査読」とは「peer review(ピア・レビュー)」とも呼ばれ、その学会誌に掲載するに相応しいものかその学会で選出された編集委員や査読委員が投稿された論文の評価・検証する審査となります。
査読する人数は各学会の規定によって異なりますが、最低でも2名の委員が査読を行います。流れとしては、事務局や編集事務局に送付された投稿論文について
① 編集委員長が査読担当者を決定
② 当該担当者へ査読依頼をする
③ 査読結果を投稿者へ送付
④ 投稿者により修正された原稿を同じ査読者が再確認を行う
⑤ ③④を繰り返し、採用(受理)、雑誌掲載へ向けた組版を開始
混同しがちですが、校正とはwordなどで作られた原稿を雑誌向けに組版を行った組版原稿に対してレイアウトや「てにをは」等の最終確認となります。
査読と校正は別のものであり、校正では査読のような内容に関わる修正はできません。
「査読」について簡単にご紹介しましたが、上述の①から④の流れについて年に数本といった投稿数であれば作業に大きな負担になりません。
しかし、年に数十本の投稿であればかなりの作業が発生し、編集委員会とは別に学会事務局や編集事務局を設けて管理サポートを行います。
これが「査読管理」となります。
論文の投稿は初回は紙媒体での送付である場合も多く、紙媒体の受付管理や電子化保存等の取り扱いはもちろん、郵送での記録や届いた・届いていないといったやりとりも発生しがちとなります。
また学会誌には定期発行日がありますので、それに向け目標論文数が受理されるよう進行管理をしていく必要があり、数が増えれば増えるほど大変となります。
メールでの送付往来であっても、論文ごとのやりとりを記録を作成しておかなければ、その都度その論文の状況をメールから探すことになってしまいます。
さらに、年に4号以上の定期発刊となると、どの号に採用するのかなど1つの論文に対して状況が輻輳することもあります。
進捗状況を追いかけるだけでも大変になり管理担当者が不在の場合に状況がわからない、つまり属人的な作業に陥りがちです。
査読システムの利用のメリット
査読システムの導利用により人間が行っていた管理をシステムが対応し、査読担当者のする作業を短縮することが可能になります。
導入により正確さやスピード感、非属人性は上がります。紙媒体での投稿が規定されている学協会では電子受付に変更しサイトを作成、またはサイトに機能を追加する必要がありますが、変更すればシステムによって往来のやりとりを管理することが可能になります。いつ届いたのか・誰に査読者が決定したのか、査読結果がいつ投稿者へ渡り、いつ投稿者から修正稿が届いたのか、その原稿データや査読コメントも含めシステムに記録されます。
また、査読や原稿修正に期間を設けシステムが自動でリマインドされるといった機能もあり、査読管理を大幅に軽減することが可能です。
しかし、全てがオートメーションではなく、やはり人の手は必要になります。
運用にもよりますが一次受付を事務局においた場合は
・論文が投稿されたこと(査読者を割り振る)を編集委員長に依頼する
・査読でのやりとりでの仲介
・必要書類の作成や表記、修正確認
・査読者のコメント精査
などが必要になります。査読システム利用後もまだまだ人の手が必要な学協会は多いです。
ご利用にあたって
利用費用は提供各社によって価格が異なりますが、費用対効果としては年間50編以上の投稿がひとつの目安とされているようです。
しかし、人の手を介した手間と労力、抜け漏れによるリスクを考えると、年20編を超える投稿がなされる学協会では一度前向きに検討されることをおすすめいたします。
査読管理に限らず、システム導入により効率化が図れます。しかし、それに伴い費用が発生することも確かです。費用を費やしシステムを導入しても、全てが改善されるとは限りません。状況に合わせたメリット、デメリット、そもそもの問題点を洗い出し、検討していくことが重要です。
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