論文の謝辞とは?日本語・英語の参考例文も紹介
論文には「謝辞(Acknowledgements)」という項目がありますが、いったい何をどう書けばよいのでしょうか?この記事では謝辞を書く意図や書く場所、書き方の参考になる例文などをご紹介します。
謝辞とは
「謝辞」とは研究などの指導や支援を受けた相手に感謝の意を表すために、相手の名前を記すものです。協力を得た組織や個人の名前と、援助を受けた内容を記載します。
同時に、謝辞に権威ある組織や人物の名前を記載することで論文の信頼性を担保するという狙いもあります。
また、協力者の名前を謝辞で明示することは、感謝の気持ちを表すだけでなく、協力者(支出・拠出した側)にとっては、研究貢献の証拠となり、支出報告書への記載など、研究へ協力したことの証明という側面も持ちます。
上記のように謝辞とは感謝の意を表すものであり、論文を構成する重要な要素の一つです。次に具体的な記載方法を見ていきましょう。
謝辞を述べる相手
では、どのような方々に言及すればよいのでしょうか。謝辞に記載すべき相手の例を挙げます。
・アイデアやデータなどの情報提供を受けた教授や大学など、個人や組織
・研究に関して協力や指導を受けた方、議論をした相手
・研究で使った施設、機関
・査読付き論文、ジャーナルの場合は査読者(レフェリー)
・研究資金の提供者
共著者として記載するか、謝辞に記載するかについては明確な書き方の規定はありません。
その研究において顕著な功績があれば連名とし、そうでないと判断されれば謝辞への記載となります。
卒業論文・修士論文・博士論文などは単一著者が基本で、協力者は謝辞に記載する形となります。
また、謝辞に記載する場合、事前に本人の承諾を得る必要があります。名前が記載されることで論文を認めたことになり責任を伴うからです。
当然ですが、承諾をいただいた方の名前は誤りのないように記載しましょう。
謝辞を書く場所や順番
続いて論文に謝辞を記載する場所を確認します。
基本的に謝辞は「結論」の後に書きますが、参考文献を記載し、その後に記載することも珍しくありません。また、結論の考察部分の直後に謝辞を書き、その後に参考文献(引用文献)を記載する書き方もあります。
主観を含むのが謝辞ですが、一定の構成に沿って簡素にまとめましょう。
項目の順番は一般的に研究に対する学術貢献度の高い順が指標となります。
例えば、学位論文であれば主査(指導教官)、次に副査(副指導教官)、連名にしていない共同研究者、共同研究者ではないが助言を頂いたり研究に対する議論をした人、参考となる資料・試料等の提供者、のような順番となります。
同じ項目で複数の人がいる場合は、関係式の遠い人を先に書き、同一組織であれば上位者を先に書くことが書き方の通例です。
例えば(1)他学科の先生→(2)同一学科の先生→(3)同一学科の学生、(1)他大学・他企業の人→(2)同一大学・企業の人、という順番になります。
また、謝辞では名前の後に「様」ではなく「氏」をつけるようにしましょう。
卒業論文・修士論文における謝辞
「卒論や修論に謝辞を書いていいのか」と悩む学生も多いかと思います。
博士課程ならともかく、学部生の卒業論文だと謝辞を入れる学生はそれほど多くありません。
結論から述べますと、謝辞を入れる必要性はありません。
謝辞の有無で論文の評価が変化することも少ないでしょう。
しかし、自分の研究の面倒を見てくれた指導教官や先輩、同期のメンバーへのお礼を伝えることは礼儀として非常に大切です。特に学生の論文では、実験や調査、データ作成や執筆などの場面で多くの人の手を借りているかと思います。
また、卒業論文や修士論文であれば、大学や大学院を卒業後感謝を伝える機会はなかなかありません。
謝辞は感謝を伝える貴重な機会となるため、卒業論文や修士論文でも謝辞を書いておくことをおすすめいたします。
謝辞の例文
最後に、謝辞の例文をご紹介します。日本語と英語両方について記載しますので、書き方の参考にしていただければと思います。
<日本語>
・◯◯教授には、研究の進め方や枠組みについて有益な助言をいただきました。
・この研究は、2019年度□□財団の助成金交付により研究が遂行されたものです。この場を借りて深く御礼申し上げます。
・△△研究室の皆様には、温かいご指導ご鞭撻を賜りました。心より感謝申し上げます。
<英語>
・I would like to thank ◯◯ for useful discussions.
・I am grateful to □□ for collaboration on the early stages of this work.
・I wish to thank △△ for advice on experimental design.
・This work is supported by the ABC Foundation.
お世話になった方々への感謝を表す謝辞も論文の大切な構成要素です。通例を学び、漏れや誤りがないよう慎重に記載しましょう。
学会のサポートならSOUBUN.COM
SOUBUN .COMには学会サポート会社として80年の歴史があります。
学会・学術のDX化にも力を入れており、学術大会の参加登録や査読管理のシステム化、大会用HP制作や電子ジャーナル制作など幅広く承っております。
ご興味がございましたら、ぜひ以下のサービスページをご覧ください。