論文執筆における引用の仕方や参考文献の書き方

論文を書くうえで必要不可欠な「引用」。
方法を間違えて「盗用」になってしまわないように、正しい論文の引用の仕方を詳しく紹介します。
さらにこの記事では、「引用」と「転載」の違いも解説いたします。

そもそも引用とは

「引用」は、一言で言えば「他者の文章を自分の論文に取り入れる」ことです。ただし、執筆するにあたっては一般に次のようなルールがあり、これらを守らないと他人の作品を「盗用」することになってしまう可能性があります。自身の作品を守る為にも、以下のようなルールを知っておき、注意して作成することが必要でしょう。

・引用できるのは、公に発表されているもの
・「研究のため」など、正当な目的が必要
・引用であることを明確にする
・要約でなければ、引用元の原文どおりに記述する
・引用元(出典)を明示する
・引用が主にならないようにする

引用は文章や情報を文献から「ちょっとお借りする」程度のことなので、これらのルールを守っていれば、通常著者の許可を得る必要はありません。ただ、そのレベルを超えていると思われる場合は、引用ではなく「転載」ということになり、掲載元の許可を得ることが必要です。一般には、引用する文章が広範囲に及んだり、図や表を引用したりする際は「転載」と考えておくとよいでしょう。

執筆における引用の仕方

論文の具体的な引用の仕方は、主に次のようになります。

・引用した箇所は、自身の論文内では「 」もしくは “ ”で囲む(直接引用)
・引用箇所の末尾に、( )で囲み「著者の姓」「発表された年」「記載ペ―ジ」を記す
・内容を要約して引用した場合は、「著者の姓」「発表された年」のみ記す
・著者が二人の場合は、引用箇所全てに、両者の姓を中黒(・)で区切って記す
・著者が三人以上の場合は、初出箇所のみ全員の姓を記し、以後は筆頭者の姓以外は「~ほか」という形で省略する
・論文の記載ページが複数にわたる場合は、引用元の最後のページも記す
・論文の引用元が同じ場合は、2回目以降は著者名のみでよいが、既出であることが分かりにくい場合は発表年も記す

引用した文献(参考文献・出典)リストの書き方と書く順番

引用した論文の情報は、最後に「文献リスト」という形で情報を一括して記載します。

・本などの書籍は、「著者の姓名」「出版された年」「書名」「出版社名」「記載ページ」を記す
・本や雑誌等に掲載された文献は、「著者の姓名」「雑誌等の発行年」「文献のタイトル」「雑誌等の名前」「記載ページ」を記す
・インターネットで発表された文献は、「著者の姓名」「公開された年」「文献のタイトル」「ウェブサイトの名称」「サイトのURL」「サイトにアクセスした年月日」を記す
・リストは著者名順に並べるのが一般的だが、引用順でもよい

英語の論文・レポートにおける引用の仕方

 

英語での引用の仕方は2つあり、クォーテーションマークを用いるStandard quotationとクォーテーションマークを用いないBlock quotationに分けられます。

引用する文が5行未満ならStandard quotation、5行以上ならBlock quotationを使います。

 

Standard quotationの方法

(1)引用元を示す導入の文章を入れて、引用したい部分をダブルクォーテーションマーク(‘‘ ’’)でくくる

 

例)According to 〇〇【著者名】, ‘‘〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜【引用したい文章】’’(××)【ページ数】.

 

(2)直接引用したい部分をダブルクォーテーションマークでくくる

 

例)〇〇【著者名】says People ‘‘〜〜〜【引用したい文章】’’(××)【ページ数】.

 

※引用元の示し方

(1)著者が1名のとき

 著者の名字+出版された年

 

例)(White,1945)

 

(2)2名著者がいるとき

両方の著者を示す。()内に記述するのであれば&を用いる。文章内で著者を示すのであればandでまとめる。

例)(〇〇【著者名1】&△△【著者名2】,××【出版された年】)

例2)〇〇 【著者名1】and △△【著者名2】 (××)【出版された年】 found ・・・

 

(3)3名以上の著者がいるとき

初回の引用では全員の名前を記述し、2回目以降の引用では筆頭著者以外はet al.でまとめる

 例」)初回の引用:

 (〇〇【筆頭著者名】, △△【著者名】 & ☆☆【著者名】, ××【出版された年】)

    2回目以降:

 (〇〇, et al., ××)

 

Block quotationの方法

自分の論述とスペースを空けて引用したい文章を記述する

 

例) In reference to 〇〇【著者名】,

         

           〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜【引用したい文章】(××)【ページ数】.

  

  This explains that・・・

 

その他の引用において注意する点

(1)原文を変えて引用する場合(大文字を小文字に変える等)、該当部分に[]をつける

 

例)【原文】 We have to learn how to quote.

       【引用後】Tanaka explained that, “[w]e have to learn how to quote”.

(2)原文に間違いがある場合、引用でも間違いは修正しない。代わりに間違いのある単語の直後に(sic.)を入れる。

 

例)【原文】 We have to lean how to quote.

       【引用後】Tanaka explained that, “[w]e have to lean (sic.) how to quote”.

英語の論文・レポートにおける参考文献の書き方

・本などの書籍は、「著者の姓+名(イニシャルでも可)+ミドルネームのイニシャル」「出版された年」「書名(イタリック体で記述すること)」「出版された場所」「出版社名」を記します。

 

例) Thomas, H. K. (2004). Training strategies for improving listeners’ comprehension of foreign-accented speech (Doctoral dissertation). University of Colorado, Boulder.

 

今回ご紹介した引用のルールや書き方は、あくまで一般的なものなので、決してこのとおりでなければならないというわけではありません。学会等によっては、独自の引用スタイルを規定している場合もあります。ただ基本的な部分はおおむね共通していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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