J-Stageの早期公開について
Web社会の現代、研究成果である学術論文は1分1秒でも早く公開したいもの。
海外ではオンラインジャーナルが主流となる中、J-Stageには、早期公開の機能があります。
しかし、早期公開の機能を知ってはいるものの、実際には運用のルールや導入までの道のりもあります。本記事では、J-stageでの早期公開について、ご紹介していきます。
J-stageでの早期公開
海外では、オンラインジャーナルが主流になりつつあり、受理された論文がすぐさまにweb上に公開されます。学術論文において、一刻も早く公開されることは、極めて重要なタスクとなります。元来、学会誌は年、数回という定められた定期刊行物であり、そこに掲載され、本となった時が世に出る瞬間となりました。また、学会誌の電子化もまずは、過去のアーカイブ事業であったように思います。
しかし、ITのドッグイヤー、ラットイヤーの波に、世の中の身近なところにもデジタル化が進み、電子媒体を閲覧するPCやスマートフォンなどのデバイスの進歩、また膨大な人知の産物を格納するストレージの構築、大容量の送受信を可能とする通信技術により、書籍においても、オンラインジャーナルという流れが来ました。印刷費用がかからないメリットに加え、印刷を待たずに論文が公開することが可能となりました。
J-stageでは、完全なオンラインジャーナルではなく、印刷した雑誌ありきの仕組みを踏襲しながら、印刷を待たずに世に公開することが可能な「早期公開」の機能を実装しています。これは、その名の通り、印刷をまたずに、受理された論文を先に公開するというものです。これにより、雑誌に掲載しつつも、受理され次第、公開するということを実現しています。
本公開での差し替え可能か
J-stageでは、早期公開について以下のように定義しています。
「J-STAGEの早期公開機能を利用すると、採択された記事を巻・号や開始ページ等が確定する前の段階で速やかに公開することができます。採択直後の著者の原稿をそのままPDFにして公開する等、オンライン出版の特徴を活かした迅速な研究成果の流通が可能です。」
(参照URL:https://www.jstage.jst.go.jp/static/pages/advance_online_publication/-char/ja)
そのほか、J-stageには、早期公開についてのルールやマニュアル、FAQが公開されています。早期公開といえど、雑誌の体裁に整えた上で本公開を行うイメージもありますが、定義にある通り、採択のままの原稿をPDFにして、早期公開し、本公開の際に雑誌の体裁の原稿、つまり組版を行った論文を掲載することが可能となっています。
しかし、組版を行わずに早期公開を行うということは、公開作業が2回に増えることを意味する、つまり登載コストが2倍になります。また、早期公開には、例えばページ番号は振らず、DOIでの管理をする(DOIの付与方式を「論文番号型」で運用する)こと、本公開を必ず行うことなど、さまざまなルールがあります。
早期公開の申請方法
早期公開の機能を利用するには、申請が必要となります。また前提条件として、すでに1記事が公開されていることが必要です。また、個人での申し込みではないため、論文の投稿先の学協会が早期公開に対応しているのか、事務局や編集委員会に確認する必要があります。
早期公開に対応していても、組版を行い校正も完了したものを公開するといった運用を行っている学協会もあります。早期公開を希望する場合には、必ず投稿の前にその学協会が早期公開に対応しているか、確認することをおすすめします。
まとめ
オンラインならではといえる早期公開システム。しかし、公開にあたっては多くの取り決めがあります。SOUBUN.COMでは、J-stageへの登載業務はもちろん、JSTへの申請代行、早期公開実現に向けたノウハウがあります。学会誌のことでお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にSOUBUN.COMまでお問い合わせください。