J-stage掲載論文の取り下げ・非公開について

1999年にJ-stageが運用開始され、いまではJ-stageで論文を公開・閲覧することは当たり前となってきました。
オンラインでの公開となりますので紙媒体で発行した冊子とは異なり、削除することも容易となります。
しかし、国際的な合意に基づきJ-stageでは撤回された論文であっても削除しない、といった運用になっています。
本記事では、J-stageに掲載された論文の取り下げについてご紹介していきます。

訂正や取り下げ・撤回の考え方について

厳しい査読を経て掲載された記事であっても、発刊・公開後に問題が発生し、修正が必要となることがあったり、掲載の取り下げが必要となってくることもあります。
紙媒体の雑誌であれば、内容に影響のない誤植であればそのまま訂正されることはなく、内容に影響するような大きな修正や取り下げが必要であれば、次号発刊の際などに訂正記事を掲載します。
それに対し、オンラインの記事であれば、簡単に修正や差し替えが可能かと思われがちです。
確かに手順としては簡単ですが、一度、公開した論文のPDFを差し替えると複数の版が出回ることになり、どれが正しいのか、最終の内容なのかわからなくなってしまいます。
そのため、
国際的な合意に基づき、J-stageでは訂正や撤回に推奨基準を設けています。

それでは具体的にどのような対応をすべきなのでしょうか。

訂正をする場合

掲載論文の訂正を行う場合、J-stageでは 最初に公開したPDF を修正することはせず、訂正記事 (エラータ) で訂正することになっています。
所属機関名の綴りの誤りや明らかな単位の誤りなどの軽微な誤りは訂正不要とされていますが、それらについても訂正を行う場合でも、エラータで訂正することになっています。

撤回・取り下げをする場合

修正ではなく、捏造、剽窃、その他重大な誤りにより論文を撤回する場合は、撤回告知記事を冊子体とオンラインに掲載します。
元の記事には撤回したことを示すだけで削除はしません。
例え捏造とみなされた論文であっても、記録として消されてしまっては、のちにその論文について検証を行うことができません。
そのため、取り下げとする論文であっても、オンライン上から削除することはありません。
また撤回や取り下げといった場合は、J-stageでは訂正やエラータでの処理ではなく、撤回記事の掲載を行い、その論文を削除することもしません。

非公開とはなにか

訂正や取り下げと混同しやすいものに非公開があります。
非公開とは、公開をしないというもので、訂正や撤回・取り下げとは異なります。
また非公開といっても、記事そのものをオンラインでは公開しない、といった場合と、IDとパスワードがないと閲覧できないといった制限付きの閲覧を意味する場合があります。
これらについては、J-stage側の取り決めやルールではなく、掲載雑誌の運用に従っているため、もし制限なしで公開されている雑誌でJ-stageに、制限付き公開や、非公開を求める場合は、掲載雑誌の責任者に確認をとる必要があります。

今回はJ-stageに掲載された論文を訂正・取り下げる場合についてご紹介しました。
オンラインのため修正自体は簡単ですが、そ
の性質上、雑誌と同様の運用がなされていることがお分かりいただけましたでしょうか。

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