学術データベース「Web of Science」とは?
論文を検索する際にアクセスするデータベースサイトは「CiNii」や「PubMed」、「J-Stage」や「医中誌Web」などが有名です。
この記事では、情報の信頼性が高く様々な機関が学術統計情報にも利用され、世界的に権威と影響力があると言われるオンライン学術データベース「Web of Science」の概要について、インパクトファクターとの関係も解説しながら詳細にご紹介いたします。
世界最大級のオンライン学術データベース【Web of Science】
Web of Science(ウェブ・オブ・サイエンス)とは、クラリベイト・アナリティクス社(旧:トムソン・ロイター)が提供する世界最大級のオンライン学術データベースです。現在250を超える化学、自然科学、社会科学、芸術、そして人文科学の領域において世界中で公刊された 21,000 誌を超える学術ジャーナルが統合して収録・提供されています。また、ジャーナルインパクトファクター付与誌は全て収録しています。研究者にとって欠かせないデータベースであると言えるでしょう。
信頼できる学術誌資料が厳選して収録され、世界の約7,300の研究機関で利用されており、政策決定や大学ランキングにも採用されています。また、ジャーナルの分析データも充実しています。「Web of Science」の学術文献引用データベースを元に、その論文がどの程度引用されたかによってノーベル賞有力候補である研究者の予想を立てるのにも利用され、インパクトファクターもWeb of Scienceに収録されたデータを元に算出されています。
データの価値・信頼性の高さ
ジャーナルの品質24基準と影響度の4基準の合計28の基準を用いて、出版社や研究機関とのつながりを持たない熟練の社内編集者が、多岐にわたる分野から客観的に厳選するといったプロセスにより、キュレーションが行われています。そして適切な情報が収録されるようになっています。余分な情報を削ぎ落とし客観的な評価プロセスで選別した評価の高いジャーナルのみを収録しているため、価値の高い論文が収録されています。
また、論文の関連情報や著者データが豊富で分野や言語はもちろん、国や地域、所属機関、発行年など、様々な観点からも論文を検索可能となっています。
情報の信頼性が高いため、様々な機関の学術統計情報にも利用され、例えば、国別・年度別の論文発表者数の推移や、被引用の論文ランキングなどの統計のほとんどが Web of Science 提供のデータを基にしています。
cover to coverの索引化
クラリベイト・アナリティクスは、「Web of Science を選ぶ理由」に、cover to coverの索引化を挙げています。収録されているジャーナルはcover to cover、つまり全編通して各論文が索引化されています。すべての引用文献(citation)が索引化されるのはもちろん、論文の著者、著者の所属、また論文の抄録、キーワード、加えて記載がある場合には資金提供の謝辞なども記録されています。つまり、全ての論文の引用・被引用情報が登録・索引づけされており、引用件数の多い論文や、関連性の高い論文を調べることが可能となっています。
インパクトファクターを考案したアメリカの学者ユージン・ガーフィールドは、どの分野でも、引用は特定の文献に集中することや、学問分野は相互に密接に関連している、といった法則を唱えています。つまり、引用件数の多い論文は重要性が高く、専門領域以外でも利用されている可能性が高いと言えます。Web of Scienceでは各分野の重要性が高い雑誌を集めて引用することで、研究分野を超えた効率的な文献検索が可能となっています。
Web of Science の使い方
Web of Scienceの使用方法を、実際のサイトマップを見せながら説明します。
①Web of Scienceへのアクセス方法
キャンパス・研究所にいる方は機関内のネットワークよりアクセスをし、自宅やキャンパスにいる方はご所属機関のリモートアクセス利用方法の指示に従いアクセスできます。
こちらのリンクからアクセス可能です。
Web of Scienceにアクセスした際の初期画面は、以下のような基本検索になっております。
②基本検索
検索欄にキーワードを入力し、検索フィールドを選択して検索ボタンを押すことで基本検索ができます。検索フィールドは、トピック、タイトル、著者名、出版物名など様々な指定が可能です。
また、「行の追加」を行うことで複数のキーワードを組み合わせた検索を行うことも可能です。1つ目のキーワードに対する2つ目以降のキーワードの組み合わせ方を、AND/OR/NOTから選択できます。ANDは、両方をトピックに含む論文を調べたい時に、ORは、いずれかを含む論文を調べたい時に、NOTは、片方は含めたいが片方を含めたくない時に使用します。
さらに、日付範囲の追加では、検索する期間を指定することができ、初期設定では出版日の全範囲となっています。
③検索結果
検索結果は、デフォルトで関連度順で並びますが、他の順序に並び替えることも可能です。検索して出てきた論文のタイトルをクリックすると、論文の詳細情報が確認できます。
また、左端にあるチェックボックスを利用することで、検索結果の絞り込みを行えます。高被引用文献や早期公開論文などで絞り込むことが可能です。
さらに、各絞り込み項目の右下にある「詳細表示」をクリックするとより細かく絞り込むことができます。
④重要な論文の調べ方
検索をした際、膨大な件数の文献がヒットしどれを読むべきかと悩む方もいるのではないでしょうか。そこで、以下の2点をおすすめします。
・被引用数の多い論文を見つける。
・利用回数の多い論文を見つける。
被引用数-多い順で並び替えることにより、文献が他の出版物で多く引用された順に並び替えることができます。被引用数の多い論文は、それだけ注目されて利用されている文献なので読むべきでしょう。また、利用回数で並び替えることで、研究者の興味が高い論文を見つけることができます。
卒業・退職後に学術データベースを利用したい場合
多くの主要なオンライン学術データベース等のプラットフォームは学校などの所属団体が学内向けに有料で契約している場合が多く、卒業・退職後に学外から個人で利用しようとアクセスするとアカウント契約の手間や料金がかかることがあります。
卒業・退職後にこのようなデータベースツールにアクセスしたい場合は、Google Scholarや国立国会図書館検索(国立国会図書館オンライン)など無料のサービスを利用するのも良いでしょう。
知人のアカウントを利用するとライセンス違反となるため、絶対にやめましょう。
学会のことならSOUBUN.COM
今回はWeb of Science をご紹介いたしました。Web of Scienceは、多彩な情報の検索・分析機能が搭載されていて、検索結果やジャーナルの分析はもちろん、引用マップの作成など、様々なかたちでデータを利用することができます。クラリベイト・アナリティクスはWeb of Science 以外にこれほど深く完全なリソースインデックスはないとしています。
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