レンチキュラープリントとは、微細なカマボコ形のプラスチックレンズを絵柄に貼り合わせて、立体像を見る方法です。断面がカマボコ形になっているレンズのことをレンチキュールといっており、それが均等なピッチで複数並んだものをレンチキュラーレンズといいます。レンズの厚みや1インチあたりのカマボコ形の本数などは何種類もあり用途ごとに厚みやレンズの線数も使い分けられています。
例えば、CDやDVDのジャケット・マウスパッド・ステッカー・トレーディングカード等によく使われていますが、表示されている人間の顔が正面から見ると笑顔、ちょっと角度を変えると怒った顔、別の角度から見ると寝顔になったりというようにいくつかのパターンに絵柄が変化するものです。
日本で最初にレンチキュラーが出たのは昭和30年代に流行したダッコチャン人形の開いたり閉じたりする目だったと言われています。
レンチキュラーには、平面に3次元空間のように表現する3Dと、見る角度を変えることにより絵柄が変化する2Dがあります。3Dは、左目と右目で違うものを捕らえるという目の視差を利用しています。2Dには、見る角度によって通常3つまでの絵柄が切り替わるるものと、一つの対象を4枚以上のバリエーションにした画像によって拡大縮小を表現するズームエフェクト、角度により被写体の中の物が移動するように見えるアニメーションエフェクト、角度により被写体の中の物が他の物に徐々に変化するモーフィングエフェクトがあります。
製造方法は、カマボコ形のレンズが万線状に並んでいるものに、例えばズームエフェクトを製造する場合、元画像で8画像(特に8画像である必要はない)違う画像で徐々に被写体の中の一部が大きくなる画像データを用意して、それを画像合成用のソフトに入れます。
そして、例えば75線レンズの場合、万線のレンズの方向と直角に切ると山ができ、75線だとそれぞれの山の幅が0.336~0.337ミリになります。(75線というのは1インチの中に山が約75個あるということです。)プラスチックの成型品なので冷えて固まるわけですから、製造ロットごとに誤差も生じます。
その8画像データを一枚にするには、正確なレンズピッチを仮に0.3364ミリとすると、レンズの裏側に8等分(0.3364÷8)した画像のラインを印刷することによって、ひとつのレンズの下に8つの画像を入れますが、1ミリあたり75本のレンズの下にそれぞれに8つに画像を分割することにより2Dや動きが表現されます。元原稿は原寸で300dpi以上の解像度があれば十分です。
レンズの線数は、10線から100線まであります。そのレンズ線数は用途によって使い分けなければなりません。レンズの線数ごとに焦点距離があり、どのくらいの距離からみたら一番ピントが合って見えるかということから使い分けなければなりません。レンズの線数が細かければ細かいほど、焦点距離が近くなります。そうすると、1インチあたり10本・20本の粗いほうが遠くから離れて見る大きいディスプレイに向いています。
手に持って動かすようなトレーディングカードやCDのジャケットやマウスパッドだと、75線が多く使用され、だいたい45センチくらいが焦点距離です。
あとは、ディスプレイの場所によってもレンズの材質を使い分けています。屋内だと通常はPETを使います。屋外だとアクリルが多いでしょう。